ラケットによってストリングの本数が違うってホント?
Contents
はじめに
ラケットのフェイス面に張られているストリングの本数を、縦糸と横糸の本数でそれぞれ表したものを「ストリングパターン」といいます。
私が普段使っているバボラのアエロプロドライブは、縦糸が16本で横糸が19本です。
「MAINS」はメインストリング(縦糸)で、「CROSSES」はクロスストリング(横糸)という意味です。
他には、「16×19」といった表記などがあります。
ストリングの役割
さて、ストリングパターンを説明する前に、メインストリングとクロスストリングの役割を説明します。
実際にボールがフェイスにあたるときに、それぞれのストリングがどのように機能しているかを考えると、ストリングの役割が見えてきます。
ストリングの役割がわかれば、ストリングパターンによって、ラケットの使用感にどのような違いが出てくるのかが感覚的に分かりやすくなるはずです。
メインストリング
先ほど、縦糸のことを「メインストリング」と呼ぶということをお伝えしましたが、なぜ ”メイン” なのでしょうか?
その答えは、ラケットでボールを打つときに最も影響を与えるからです。
ラケットでボールを打つとき、どのような現象が起こっているかを考えてみましょう。
- まず、ラケットのフェイスにボールが当たる。
- そして、ボールがフェイスにあたった衝撃で、張られているストリングがたわむ。
- たわみがもとに戻ろうとする力がボールに伝わり、ボールは前に飛んでいく。
このように、ストリングのたわみを利用してボールを軽い力で飛ばそうというのがラケットという道具です。
メインストリングは、クロスストリングに比べて長いため、たわみも大きくなります。
だから、ボールを飛ばすときにメインストリングが最も影響を及ぼすのですね。
まとめると、メインストリングは次のような性能に影響があるのです。
- パワー
- スピン性能
- 耐久性
このメインストリングが、フェイスの垂直方向にたわむことで、ボールは前に飛びますが、フェイスの水平方向にずれるようにたわむことで、ボールにスピンをかけることができます。
クロスストリング
メインストリングがボールを飛ばす力に最も影響を与えると言いましたが、それでは、クロスストリングにはどのような役割があるのでしょうか?
クロスストリングとは、言ってしまえば ”サブ”ストリングのようなものです。
基本的にメインストリングよりも短いので、ボールを飛ばす力には余り影響を及ぼすことはありません。
しかし、そんなクロスストリングにも大切な役割があるのです。
それは、メインストリングのたわみが大きくなりすぎるのを抑えるというものです。
たわみが大きくなるとボールがぶれてしまうため、パワーは出ますが、コントロールはしにくくなってしまいます。
それを防ぐために、クロスストリングはあるのです。
クロスストリングのおかげでラケットのコントロール性能は保たれているのです。
つまり、クロスストリングの役割をまとめると次のようになります。
- スピン
- コントロール性能
- フィーリング
ストリングパターン
さて、様々な種類があるストリングパターンですが、性能面にはどのような違いがあるのでしょうか?
ラケットのサイズ、ストリングの太さやテンションが同じでも、ストリングの間隔が違うと、ラケットの使用感も異なります。
一般的に、ストリングの間隔が狭い(ストリングパターンの密度が高い)ラケットは、たわみが少なくなるので、テンションを高くした時と同じように硬く感じ、打ちごたえがあるようになります。
もし、ラケットのストリング同士の間隔を半分にしたら、もとのラケットの半分のテンションでストリングの変形量は等しくなり、同じような性能になるはずです。
そうすることで、細くて切れやすいけれど弾力性の高いストリングを張っても切れにくくなります。
ラケットメーカーは、こうした性質をうまく利用して、日々より性能の良いラケットを開発しようと努力しているのです。
たとえば、フレームに近い場所ではストリングはたわみにくく、硬くなってしまいますよね。
ですから、フレームに近いフェイスの外側部分では、ストリング同士の間隔を広くしてあげることで、できるだけマイルドな打感でボールを打てるようになります。
つまり、スイートスポットがより広く、初心者でも打ちやすいラケットの誕生というわけです。
まとめ
ストリングパターンというものは、ラケットの性能を決めるうえでかなり大切なポイントであるということを理解していただけたでしょうか?
ストリングパターンを変えるときは、ラケットのフェイスの形状も変わってくるということが多いので、フェイスの形について解説しているこちらの記事もご覧ください。