振動が最小になるポイントを探そう! ~スイートスポット②~
Contents
ラケットの振動
ボールをスイートスポットから外れたフレームに近い場所で打ってしまったとき、不快な振動を感じることがあると思います。
この不快感は一体何なのでしょうか。
ラケットがボールと衝突すると、その衝撃でラケットは変形し、元に戻ろうとすることで、ラケットは振動します。
この振動は、実際にはいくつもの振動のパターンが組み合わさって、複雑なものになっているのですが、今回は最も一般的な振動に注目して簡単に考えてみたいと思います。
振動という現象を考えるにはラケットの各部分の動きを考えてみるとわかりやすいです。
次の図のように、ラケットが振動するとき、ラケットには大きく左右に動く部分と、全く動かない部分があります。
このように振動のパターンはいろいろあります。
図に表したように、振動するときに全く動かない部分を「節」と呼びます。
一般的なラケットが、パターンAで振動するとき、振動の周波数(1秒間に何回振動するか)は、およそ20~30ヘルツです。
パターンBやパターンCで振動するときは、ラケットのフレームが硬ければ硬いほど振動周波数は高くなりますが、およそ100~150ヘルツになります。
ここで、もう一度先ほどの図を見てください。
パターンAとパターンBは、ラケットのグリップ部分が振動していないですよね。
つまり、この二つのパターンは、グリップがしっかりと固定されている場合に起こる振動パターンというわけです。
また、振動周波数の高い方が1秒間に振動する回数が多いわけですから、当然プレーヤーが特に不快感を感じる振動というのは、パターンBやパターンCのような高い振動周波数のパターンということになります。
スイートスポット②とは?
スイートスポット②とは、ボールを打ったときに手に伝わってくる振動が最小になるところでしたね。
では、どこでボールを打つと振動が最小になるのでしょうか。
それは、先ほど出てきた振動パターン2の節の部分です。
ラケットの振動というのは、ラケットの長さによって決まったパターンをとります。
実際にプレーするときはグリップを握っているわけですから、今回考える振動のパターンはパターンAとパターンBということになります。
実験によって、手に振動を与える最も大きな要因はパターンBのような振動であることがわかっています。
ということは、パターンBの振動ができるだけ小さくなるようにすれば、プレーヤーの手に伝わる不快な振動は小さくなるはずですね。
では、パターンBの振動をできるだけ小さくするためにはどうしたらよいでしょうか?
正解は、パターンBの振動の中でまったく動かない部分である振動の「節」にボールを当てればよいのです。
パターンBの振動の節は全く動かない部分ですので、そこがボールとの衝突によって動いたとしても、パターンBの振動は全く起こらないわけです。
まとめ
手に伝わる振動が最小になるスイートスポット②の正体がわかりましたね。
でも、このスイートスポット②に毎回ピンポイントで当てるのはかなり難易度が高いですよね。
というわけで、各ラケットメーカーは、不快な振動が生じてしまっても、できるだけ早く振動がなくなるような工夫をラケットに施しているのです。
たとえば、振動を吸収する材料をフレームやグリップの内部に埋め込んだりしています。
また、市販されている振動止めをつけているプレーヤーもいると思います。
このような振動止めは、ラケット面のガットの振動を止めるのには役に立ちますが、フレーム全体の振動を止めきることはできません。
ですから、振動止めをつけていても、スイートスポットから離れた場所で売った時は不快感が手に残ってしまうということになるのです。